土地評価の問題

無道路の宅地や私道や底地等の制限のある土地の、国税庁の財産評価基本通達評価額が時価より高額な評価額になっている原因を調べると、日本の土地評価の問題点が有ります。
国税庁の財産評価基本通達の根拠は、税務訴訟の過去判決で国税庁が根拠として述べているので、昭和48年に発行された書籍『土地価格比準表』が元になっている事が分かります。
この書籍は、(株)住宅新報社が発行元で、編者が地価調査研究会・監修が国土交通省ですが、実際は国土交通省の通達の別表を印刷したものです。
(土地価格比準表、昭和50年1月20日付国土地第4号国土庁土地局地価調査課長通達「国土利用計画法の施行に伴う土地価格の評価等について」。平成6年3月15日付国土地第56号改正)
“通達が法律解釈の基準として国民に対して拘束するものと認められるのは、その内容が法律の内容を正しく指し示している場合に限られる”との判例があるように、通達は法律ではないので、法律の内容を正しく指し示している事を証明できて、はじめて国民を拘束する事ができるのですが、過去の税務訴訟での判決では、根拠のない通達(土地価格比準表)を根拠に、通達(財産評価基本通達)が相続税法を正しく指し示していて合理的で有ると裁判官は認めて判決しています。
地価調査の根本は多数の売買事例を集めたデータを元に評価するものです、土地価格比準表の記述が正しいのなら、根拠となる売買事例の統計データを現在でも容易に示す事ができるはずですが、国税庁は裁判では一切示していません。複数の不動産鑑定士に『土地価格比準表』の根拠を聞いても回答できませんでした。

日本では国土交通省の国家資格者で有る不動産鑑定士が、不動産の鑑定評価の独占業務を行い、不動産鑑定士以外の者が不動産の鑑定. 評価を行えば、刑事罰の対象となります。
しかし、不動産鑑定士が不当な鑑定を行っても処分は行われず、平成23年から25年の3年間に行われた処分は、簡保の宿に関係して世間を騒がせた2件(不動産鑑定士8名)のみです。
不動産の鑑定評価に関する法律では、
第42条 不動産鑑定士が不当な鑑定評価等を行つたことを疑うに足りる事実があるときは、何人も、国土交通大臣又は当該不動産鑑定士がその業務に従事する不動産鑑定業者が登録を受けた都道府県知事に対し、資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
と、されていますが、不当な鑑定評価の疑いの報告を行っても、国土交通省は報告をした人に経過や結果を連絡する義務もなく、報告を受けとるのみの運営が行われています。
結局、日本の不動産評価は不動産鑑定士が不当鑑定しても放置され根拠を示さない『土地価格比準表』の記述が正しい事とされる、不思議な事が続いています。

平成27年10月修正。

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