現金が無く、相続税を納付できない場合、延納と物納の方法が有ります。
しかし、平成4年に路線価の評価を大幅に引き上げられてから、物納申請が増え、国税庁は平成18年に物納を制限する通達を出しています。
時価の8割相当とされた路線価評価なら、国民は売却したほうが利益になるのに、なぜ物納が増え、国税庁は物納を制限するのか疑問ですが、国税庁も路線価評価額が時価を超える事例がある事を理解している為と思います。(時価の8割相当とされている路線価評価額の宅地を、物納後売却すれは国は2割の利益になります)
平成18年の物納制限の通達では、物納不適格財産と物納の順位が優先される他の財産がある場合には物納に充てることができない財産(物納劣後財産)が定められています。時価で評価するのなら不適格も順位も関係がないはずですが、不思議な論理です。
一番の問題点は、”物納財産の性質、形状その他の特徴により、金銭による納付を困難とする額を超える価額の物納財産の収納を許可することができる”と定められた事です。
官僚文学では、“許可することができる”は、条件を満たさないと許可しない事を表すようで、国税庁がHPで配布している物納理由書(物納理由書へリンク)を読むと、生活費の計算で、子供二人の4人家族の場合、235,000円/月の生活費とされ、必要な生活費以上の収入が有れば、物納ではなく延納で分割納付できると、物納を不許可にしています。
この生活費は生活保護を参考にしたとされていますが、相続税を納付する国民に、生活保護世帯の暮らしをして延納で相続税を納付しろと通達を出す、官僚の発想には驚くばかりです。
延納も延納利子税は、銀行ローンの借入金利より利率が高く、延納する相続税額相当の担保を提供しなければならないので、当初は延納金と延納利子税を納付できても、数年後は納付が滞り、大部分が貸した土地(底地)の場合、売却できず、売却できた場合も財産評価通達での評価額より大幅な低価格でしか売却できず、延納税破産する人も出ています。
国税庁は、財産評価通達での評価額が不特定多数の当事者間での時価で、客観的な交換価値であると言っているのなら、どのような財産も財産評価通達での評価額で物納を認めなければ、自ら財産評価通達での評価額を否定する行為になることを理解していないようです。
(十分理解しているが、馬鹿な国民は黙って従うと考えていると、私は思います)
国税庁の延納利子税一覧HPへリンク